ずいぶん遠(とお)くから来(き)たなあ。道端(みちばた)で、はるか離(はな)れた地名(ちめい)入(い)りのナンバーの車(くるま)に驚(おどろ)いた経験(けいけん)は、だれにもあるだろう。それが来春(らいしゅん)からは「行(い)ってみたいな」という気持(きも)ちに誘(さそ)われやすくなりそうだ。

　国土(こくど)交通省(こうつうしょう)が導入(どうにゅう)する「ご当地(とうち)ナンバー」に観光(かんこう)地(ち)が続々(ぞくぞく)と名乗(なの)りをあげている。「仙台(せんだい)」「会津(あいづ)」「金沢(かなざわ)」「伊豆(いず)」や「諏訪(すわ)」「倉敷(くらしき)」「下関(しものせき)」。どこも動(うご)く広告塔(こうこくとう)にと期待(きたい)を膨(ふく)らませる。自動車(じどうしゃ)産業(さんぎょう)の盛(さか)んな「豊田(とよた)」や「鈴鹿(すずか)」のほか、「堺(さかい)」「川越(かわごえ)」なども意欲(いよく)満々(まんまん)だ。

　ナンバーに地名(ちめい)が入(はい)ったのは、５０年(ねん)ほど前(まえ)から。国(くに)の運輸(うんゆ)支局(しきょく)の所在地(しょざいち)をそのまま載(の)せた。いわば役所(やくしょ)の裁量(さいりょう)だった。それが１１年(ねん)前(まえ)、住民(じゅうみん)運動(うんどう)が火(ひ)をつけた「湘南(しょうなん)」が実現(じつげん)して変(か)わる。地域(ちいき)のイメージアップになる、と各地(かくち)が飛(と)びついた。地方(ちほう)分権(ぶんけん)という時代(じだい)の流(なが)れにも乗(の)った。

　国交(こっこう)省(しょう)は昨年(さくねん)、新設(しんせつ)基準(きじゅん)を設(もう)けた。複数(ふくすう)の市町村(しちょうそん)でまとまった地域(ちいき)、自動車(じどうしゃ)の登録(とうろく)台数(だいすう)が１０万(まん)台(だい)以上(いじょう)など。おかげで、静岡(しずおか)と山梨(やまなし)が希望(きぼう)する「富士山(ふじさん)」は、県境(けんきょう)をまたぐので難(むずか)しいと言(い)われ、長野(ながの)では隣(とな)り合(あ)う「軽井沢(かるいざわ)」と「佐久(さく)」が譲(ゆず)らず、台数(だいすう)不足(ふそく)で共倒(ともだお)れしている。それでも今月(こんげつ)末(まつ)の応募(おうぼ

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