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双语阅读:【青春小说连载】春の夢(112)

时间:2012-01-30 14:32:04  来源:可可日语  作者:dodofly

   小说《春之梦》发表于上世纪80年代,描写的是一位大学生的生活。父亲欠债而死,大学生哲之就流浪、打工,偿还所欠的债务。一只被钉到木柱子上的蜥蜴还活着,一直陪伴着他。还有他的爱情生活也激励着他生活。经过一年的奋斗,终于走出阴暗的生活。

八(19)

「さっきや。だいぶ前から勤めてくれはったんやけど、ふんぎりがつけへんかったんや。そやけど、どこの港からでもええから、とにかく船出せんとなァ。それで、さっき課長にそろそろ返事が欲しいといわれて、決めてしもた」
「どこの港からでもいい、とにかく船出しよう……。わァ、気障な言い方」
陽子にひやかされ、彼は照れて笑った。母は真顔で、おめでとうと言った。母は前にあったときよりも、されに痩せて、血色も悪かった。長い間ためらっていたが、哲之は母に一緒に暮らそうと持ちかけた。陽子は以前、哲之に話したこぎれないアパートのことをまた持ち出した。
「アパートいうても、軒つづきの二階家なんです。下が六畳と台所兼食堂。二階が三畳と六畳。お風呂もついてるし、私の家から歩いて五分のところにあるんです」
すると母は微笑を陽子に注いで、
「陽子さん、ほんまに哲之と結婚するの?」
と訊いた。陽子は頷いたが、母はゆっくりとかぶりを振った。
「私が陽子さんのお母さんやったら、絶対に反対します。私らはあと二、三年、お父さんの残した借金を払わなあかん。それがすむまでは、結婚どころやあらへん。母ひとり子ひとりで、その上自分の家はない、借金はある。そんなとこに、私なら娘を嫁にやったりせえへん。陽子さんのご両親も、そんな悪い条件だらけの家に大切な娘をやりたい筈はあれしまへんやろ?」
陽子が何か言おうとして口を開きかけたが、母はそれを制してこう言った。
「いま仮にそう決めてても、二、三年の間に、陽子さんは他の人を好きになるかも判らへん」




哲之と陽子は黙って顔を見合わせた。
「私は、陽子さんみたいな娘さんが、息子のお嫁さんに来てくれはったら、どんな嬉しいやろと思います。そやけど、こればっかりは縁のもんやさかい」
そこでひと息ついて、父が生前、酔うと口にした「お母ちゃんなァ、若いときはほんまにきれかったぞォ」という言葉が決して誇張ではないことを物語る端整な顔を傾け、誰に言うともなく呟いた。
「みんな簡単にすっと使うけど、縁て不思議な言葉やなァ」
陽子の鼻の先に赤味が生じた。それが彼女の泣き出すときの前ぶれであることを知っている哲之は、慌てて何か言おうとした。けれども何の言葉も浮かんでこなかった。陽子はうなだれて低い声で泣いた。きっと母の言葉が、奮い立たせていた陽子の勇気に水をさしたのだろうと哲之は思った。けれども、そうではなかった。

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