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双语阅读:【青春小说连载】春の夢(104)

时间:2012-01-12 14:47:14  来源:可可日语  作者:dodofly

    小说《春之梦》发表于上世纪80年代,描写的是一位大学生的生活。父亲欠债而死,大学生哲之就流浪、打工,偿还所欠的债务。一只被钉到木柱子上的蜥蜴还活着,一直陪伴着他。还有他的爱情生活也激励着他生活。经过一年的奋斗,终于走出阴暗的生活。

八(11)

「理由は訊いたの?」
「息子さんがひとりいて、ミュンヘンで弁護士をしてるそうです。あの夫婦はそこから百キロ離れたいなか家を買って年金生活を始めました。息子の嫁は私を嫌ってる。奥さんがそう言うと、御主人の方が、息子は私を嫌ってるって肩をすくめました。たった百キロしか離れていないのに、この二年間一度も来たことがない。いつも用事は電話ですましてしまうって言ってました。お互いに言い分けはあるんでしょう。でもそれ以上訊いても、こっちはどうしようもありませんから、やめました」
「どこの国でも、おんなじね」
と沢村千代乃は言った。
「妻が先か自分が先か、それは判らないが、いずれは必ずひとりぼっちになる。そうなったときの寂しさを想像するとたまらないそうです」
「お前、その息子ってのに手紙を出しておやり。弁護牛やってるくらいなら、お金に困ってるわけでもないでしょう。かくかくしかじかの理由で、あんたの御両親は日本で死のうとした。どうするつもりかって」
「まあ、書けと仰言るんなら、いますぐにでも書きますがねェ……」
「だってそれしか方法はないじゃありませんか。ふたりは家も土地も、全部手放して旅に出たのよ。残ってるのは二千何百ドルだけ。お国に帰れる飛行機代にもなりゃしない。たとえ帰ったって、その息子のところしか落ち着く場所はありませんよ」
哲之は熊井と沢村千代乃やりとりを聞きながら、ふと老人が茶室で言った言葉を思い出した。--おふたかたは、ここでは死ねなかったけど、きっとどこかで目的を遂げるでしょう。お別れのお茶ねーー。それなのに沢村千代乃は、ふたりの異国人を死なせまいとしている。茶室での言葉といい、さっきの利休の死に対する考え方といい、何かしら不気味なものを感じた。若い女中が料理の届いたことを主人に告げた。
「ぼく、ふたりを呼んできます」

そう言って哲之は小走りで巽の池に向かった。ラング夫妻は足音に振り返り、哲之に何か言った。謝罪の言葉らしかった。食事の用意が出来たことを身振りで示すと、申し訳なさそうに見つめ合い、「ダンケ。ダンケ?シェーン」と言った。
卓子に坐り、日本食を見て、ラング氏は熊井にこれは何かと訊いた。
「高野豆腐ってのは、どう言ったらいいのかな」
「コウヤドウフってしか言いようがないわね」
と言った。食事が終わり、女中がメロンを運んできた。熊井とラング夫妻はしばらく話し合っていた。
「とんでもない御迷惑をおかけしたうえに、こんなすばらしい日本の料理まで御馳走になった。私たちは死ねなかった。きっと神がそれをお許しにならなかったのだろう。一度死ねなかった人間は、もう死ねないに違いない。どこかこれ以上の御心配はして下さるな。そう仰言ってます」
熊井がその言葉を伝えると、沢村千代乃はメロンに視線を注いで、それをスプーンで口に運びながら、
「どうやってお国にお帰りになるのかって訊いて」
と言った。ラング氏は何も答えなかった。すると沢村千代乃は、ふいに顔をあげラング夫妻にきつい目を向けた。
「寂しいこと。そうして人生の最期って、そんな寂しいものになってしまうのかしら。何のために生きて来たんでしょう」
熊井がそれを訳した。ラング氏はネクタイのゆるみを直し、穏やかな口調で喋り始めた。熊井がほとんど同時通訳に近い形で訳した。

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