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双语阅读:【青春小说连载】春の夢(88)

时间:2011-12-30 14:58:46  来源:可可日语  作者:dodofly

  小说《春之梦》发表于上世纪80年代,描写的是一位大学生的生活。父亲欠债而死,大学生哲之就流浪、打工,偿还所欠的债务。一只被钉到木柱子上的蜥蜴还活着,一直陪伴着他。还有他的爱情生活也激励着他生活。经过一年的奋斗,终于走出阴暗的生活。

七(9)

石浜は決してお世辞ではない口調で言葉を挟んだ。いったいどう凄いのか。凄い目にもいろいろ種類があるではないかと思ったが、哲之は構わずつづけた。
「陽子にとってどっちが得か、考えるまでもありません。ぼくはいったんあきらめました。でもさっき、あきらめることをやめました」
哲之は自分が不思議なほど落ち着いているのを確かめてから言った。



「ぼくと陽子とは、だいぶ前から体の関係が出来ています。きょうも石浜さんと逢う直前まで、このホテルの六階の部屋でお互いに裸になってベッドの中にいました。そうやって石浜さんがやって来るのを待ってたんです。ぼくは陽子を抱きながら、石浜という男が、いま意気揚々とホテルに向かって歩いて来てる姿を想像してほくそ笑んでました。それでも構わない、陽子を妻にしてアメリカに行こうという男なら、ぼくは笑ってやるつもりです。男はそんなに大きくなれる筈がない。そんな男は馬鹿か腑抜けに決まってます。ぼくは陽子を他の男に奪われるけど、結局ぼくが勝つわけです。ぼくはその馬鹿で腑抜けな男のことを忘れませんし、その男も、ぼくの言葉を忘れないでしょう。いまどんなに寛大になれても、自分が恐らく十中八九勝つことを確信して歩いていた最中に、妻は井領という男と寝てたんだという思いが消える筈はありません。石浜さん、それでも陽子をアメリカにつれて行くと言うんなら、ぼくはいますぐふたりの前から姿を消します。二度と陽子の前にあらわれたりしません。どうですか、石浜さんの知性は、ぼくの卑劣さをねじ伏せられますか。そんな陽子をあとになってねちねちといじめたりしませんか」
石浜は煙草に火をつけて、マッチ箱をテーブルの上に立てたり倒したりして長い間考えでいた。陽子は微動もせず、虚ろね目をオレンジジュースに注いだままだった。
「私が井領さんだったら、きっとこんな駆け引きは出来なかったでしょうね。私は二十二歳のとき、井領さんみたいな目をしようと思っても出来なかった。たぶんいまでも出来ません」
やっとそう言ってから、石浜は初めて陽子を見やった。
「じゃあやめたと引き下がるわけにはいかんでしょう。私はまだ陽子さんから返事を聞いてないんですから」
「そしたら、いまお訊きになったらいかがですか?」
その哲之の追い打ちをかけるような言葉を石浜は笑顔でたしなめた。
「もし陽子さんが、いま私と結婚したいと言ってくれたとしましょう。そしたらあるいは私はこの話は御破算にしようと答えるかもしれません。そうなると、気の毒なのは陽子さんですよ」
とうとうその高価な衣服やアクセサリーを脱ぎやがったなと哲之は思った。彼は勝ちたかった。徹底的に勝ちたかったのだった。
「いや、石浜さんもお急ぎでしょう。とにかく二月の初旬にはアメリカに行かないといけないんですから、もうそんなに悠長にしてられませんよ」
石浜の表情に疲労の色が浮かんだ。ほんの数分の自分とのやりとりが、石浜に強い疲れを与えたのを見てとって、哲之は陽子を促(うなが)した。
「もう答えを出したらどうやねん。なんぼ女でも、あんまり優柔不断なのは嫌われるで」
するとあからさまな怒りの目を向けて、
「そんな言い方はやめて下さい。まるでやくざのヒモみたいじゃないですか」
と石浜は言った。

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