您现在的位置:首页 > 双语阅读 > 小说与诗集 > 东京塔 > 正文

双语阅读:【日本经典小说连载】东京塔(175)

时间:2012-07-17 10:45:52  来源:可可日语  作者:ookami

东京塔这部小说从“我”一点点长大,一直写到“我”目送着母亲因病去世,各种生活细节每每令人感同身受,因而赚取了读者大把的眼泪,也当之无愧地成了哭泣小说的首席代表。

ボクも泳ぎは苦手だが、オカンはまるで泳げないらしい。ボクはプールに入ってオカンの両手を引っ張り、平泳ぎの練習をした。バタ足から飛んでくる水飛沫が、パチパチとABCストアのポリ袋を涼しげに鳴らした。

後半は大型のコンドミニアムに宿を移動した。オカンたちは炊事場があるところの方が落ち着くらしい。どうやら、ここの方が気に入っているようだ。
修さんが静かでいいビーチがあると、みんなをそこに案内してくれた。人影(ひとかげ)もまばらな、美しいビーチだった。ワイキキから車でしばらく行った所だったと思う。
小ぢんまりしたその浜辺にオカンやおばちゃんたちといると、そこはハワイではなく福岡の海水浴場(よくじょう)のように思えてのんびりできた。
昼食はコンドミニアムのキッチンでオカンやおばちゃんたちが作った弁当を広げて、みんなで食べた。どんなディナークルーズで食うより、やっぱりこっちの方が旨い。

海からの風が気持ちよかった。夕凪に近づいてゆく、海の表情が穏やかだった。
食事も終わって、帰り仕度(したく)を始めた時。修さんがえみ子おばさんを叱るような声を聞こえてきた。
「せっかく、こうやってみんなでハワイに来とるんやから、そんな貧乏臭いことしなさんな!みっともないやろ!」
おばさんはみんなが使った割り箸を洗って持って帰ろうとしていたのだった。その割り箸はおばさんが日本から持って来ていたものだったと思う。その他にも、漬物や梅干もおばさんは用意してきていた。
箸のない国に来て、後で使いたい時になければ困ると思ってのことだと思う。
「ホテルに帰って、また使うかもしれんち思ったけんねぇ……。そやけど、ごめんね……」
そう言ってあやますながら、おばさんは泣いていた。水着を着た六十代のおばさんが、ハワイの浜辺で割り箸を握り閉めて泣いていた。
みんなはそのやりとりをしばらく眺めていたが、一番のノブエおばさんが他の姉妹を代表するように口を開いた。
「修ちゃん、あんた、そんな言い方ないやろ。あんたのお母さんは若い頃、そら苦労してから、あんたたち子供を育ってとるんよ。こうやって切り詰めながら、自分のもんやらひとつも買いきらんで、あんたを育ってて学校に行かしとるんやないの。それをそんな言い方はないやろう。」
えみ子おばちゃんは、いやいや、私が悪いんやけん、ごめんねぇ、なんか、わり買ったねぇとみんなにあやまりながら、そそくさと手荷物をまとめていた。

東京でお世話になった先輩の女性は、若い時に御主人に先立たれた。ふたりの間には三人のお子さんがいて、一番下の娘さんはその時まだ、一歳になったばかりだったという。それから、その女性は女手ひとつで三人の子供たちを育ってた。

上一页 [1] [2] 下一页

相关阅读

无觅相关文章插件,快速提升流量